「30代になってキャリアを考えなければいけないけれど、出世したくない」と考える方はいるのではないでしょうか。
出世したくないと考える人は思った以上に多く、出世欲がある人よりも、ない人が上回るとあるアンケートでわかっています。
この記事では出世したくない人の割合や理由、出世しない場合のデメリットなどを紹介します。
ぜひ最後までお読みいただき、今後のライフキャリアを検討してみてください。
管理職になりたくない人の割合
2023年2月に株式会社識学が発表した「管理職に関する調査」によると、20歳~59歳の男女の会社員300人のうち管理職になりたい・条件によってはなりたいと回答したのはわずか28.0%と低く、なかでも女性は22.7%という結果になりました。
理由のトップ3は「出世欲がないから」「責任が伴うから」「仕事が増えるから」が占めています。
トヨタ自動車の社長である豊田氏が2019年に「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と発言をしたことは、記憶に新しいでしょう。
終身雇用が当たり前ではなくなったいま、転職はするものとの認識が以前よりも強まった結果「今の会社はいずれ辞めるから」と考える人が増えているのです。
わたしが考える出世したくない理由
ここからは出世を避け続けてきたわたしが、出世したくない人の心の内を代弁します。
今の仕事内容が好きだから
出世したら、仕事の内容が変わったり取り組む幅が広がったりすることがあります。
例えばわたしの場合は接客が好きであるため、第一線にいたい気持ちがあります。
もしも役職が上がると人材育成やチームの方針を決めるといった、接客以外の仕事が増え、接客に割く時間が減ってしまうでしょう。
このように今の仕事が好きで、出世したらその仕事以外のことを多くしなければならないといった場合、出世するメリットが低く感じられるケースがあります。
責任が重くなるから
役職が上がると部下指導やチームの成績など、あらゆる責任を負うようになります。
わたしの場合は仕事に行くだけでも十分負荷がかかっているように感じるので、責任が重くなったらたぶん心がすり切れてしまうと予想できます。
また不景気のなか、会社によっては新規で入社する社員の給料を抑え気味にすることもあります。その結果、自分にとって指導が難しいと感じる社員も入ってくることがあるでしょう。
人材育成や数字などに責任を持つと自分の負担が増えます。
すると仕事が「自分の生活をよくする手段」ではなくなってしまうと感じ、出世を避けるようになるのです。
お金をそんなに使わないから
お金をそんなに使わない人は、お金があまりなくても幸せに生きられるため出世欲があまりなくなる傾向があります。
わたしは特にこれが当てはまります!
費用がかからない趣味・副業などに時間を割いている場合は多くを得たとしても、幸福度が変わりません。そのため、それであれば刺激が少ない立ち位置を選ぶ傾向にあります。
ワークライフバランスを保ちたいから
会社によっては役職が上がると、残業や休日出勤が増えるところもあるでしょう。
例えば役職者での会議にて聞かれそうな内容をまとめたり、重要な取引先が自社の休日にイベントをおこなうため行かなければならなかったりするときがあります。
現在は労働人口が減少に向かっていることもあり、人事から「部下を辞めさせないように」と上司に指導が入っているケースもあるものです。
部下の立場であればさほど残業せずにいられる一方、昇進すればそれがかなわなくなってしまう場合があります。その結果、現在の地位に留まりたい気持ちが強くなるのでしょう。
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器ではないから
なかには人にお願いするのが苦手なうえ、お願いすると軽く罪悪感を抱いてしまう人もいるでしょう。
わたしの場合、後輩に何かお願いする際に「ちょっと悪いな……」と思ってしまいます。
「急ぎでないから今週中で大丈夫だけど〜」などの頼み方しかできません。
他の先輩を見ていると「これ、お願いね」みたいにナチュラルに頼んでいるので、向き不向きや場数を踏むとこうなるのだなと思っています。
人を動かしたりお願いしたりするのが苦手な人は「ストレスが溜まりそうだ」と思い、出世を前向きに考えられない傾向があります。
その他の理由
その他検索結果を見ると、以下のような理由で出世したくないと感じる人がいます。
- 仕事量が増える
- 人間関係が面倒
- 家庭や子育てを優先したい
- 配偶者の理解を得るのが難しい
たしかに出世すると何かと競争に巻き込まれるイメージがあります。
家庭の仕事がたくさんあって、体力的に無理!というのも納得です!
出世を拒んだわたしの体験談と仕事に求めること
わたしは出世の話が出る時期に転職したり、そもそも試験を受けなかったりした経験があります。
ちなみに「受ければほぼ受かる試験」であり、よい評価もいただいていたので、手を挙げれば出世はほぼ決まっていたようなものでした。
しかし、そこで秘技「試験を受けない」を発動させます。
上司からは「受けないの?!もったいない!!」と言われました。
なぜ受けなかったかというと、わたしが仕事に求めるのは以下のようなことだからです。
- やりがいを求める
- 困らないくらいのお金をいただく
- 方法をよりよく改善していく
例えば、わたしはお客様の本当に伝えたいことをとらえて、アプローチするのが好きです。
たとえクレームの電話をひいてしまったとしても、きちんとその方の「Help me」という感情は伝わるんですよね。そこをとらえて言葉を重ねれば、最後には声が明るくなっていただける。そのような感覚が好きです。
たくさんお金をいただかなくても、そもそも出ていくお金が少ないため、自然に貯まります。あえて負荷をかけることの費用対効果は自分の場合あまりないな、と考えました。
また、PDCAを回してうまくいき、得られる喜びがたまりません。
例えばどうすればこの書類を作成するのに10分時間を削減できるのかな、と考えるのが好きです。
物事が速く進むようになるとお客様を心配させなくてすむからです。
これらには「地位を得たい」「上司から認められたい」「お金をもっと得たい」という要素がありません。そのため「出世」の二文字にスポットが当たらないのが現状です。
出世しないデメリット
そうはいっても、将来を考えるとよい点ばかりではありません。
ここからは出世しないことのデメリットを紹介します。
まわりから残念に思われる可能性がある
勤続年数が長いのに役職が低いと「仕事ができないのかな」と思われてしまう可能性があります。
自分が自ら選択して選んだ道であっても、そのことを新入社員は知る機会がないかもしれません。
また、もしかしたらなかには上司から「扱いにくい人」と思われてしまう可能性もあるでしょう。
管理職は5、10年後の人員配置までイメージして人材育成をしています。
「会社員たるもの当然出世を目指すべき」と思っている上司からご指導が入ってしまうときもあるでしょう。
出世欲がないと「成長意欲がない人」という烙印を押され、極端なことをいえば「組織にそぐわない」と思われてしまうケースもあるので注意が必要です。
また今の年齢ではよいのかもしれませんが、少し年数が上がるとリストラ対象として名前が上がったり、グループ会社に飛ばされてやりたくない仕事をさせられたりしてしまう可能性があると知っておきましょう。
給料の上がり幅が低い
多くの会社は年数よりも、役職を上げることで給料の上がり幅をアップさせています。
役職が上がるほど、そうでない人との収入差が開きます。
また法定休日に出勤した際は1.35倍の割増賃金を支払う必要があるため、当然1時間働いた場合でも開きが大きくなり、将来的に不満を持ってしまう可能性がある点を考慮しましょう。
なお給料が上がらないと何が起こるかというと、「転職しても給料が据え置き」だと思っておいたほうがよいでしょう。
転職市場では多くの場合、前職の年収をベースに給料が決まるものです。いきなり仕事ができるかもわからない人を採用しているため、会社にとっての保険でもあるため仕方ありません。
収入を増やしたいと考えていたり、立場上増やさざるをえなかったりする方は、どの程度まで出世するのかを長期的な視点で慎重に検討しましょう。
仕事の権限が持てない
長年同じ会社で働いていると自分のなかでよりよい方法を思い浮かぶときがあります。
そのまま試せる環境であればよいのかもしれませんが、上司にお伺いを立ててから取り組まなければならないケースもあるでしょう。
ときには自分が「この方法はよい」と思っても、上司の考えに沿っていないと却下されてしまうときがあるかもしれません。これは上司の権限です。
年数が経ったり仕事ができるようになったりすると、ある程度の裁量権を持てます。しかしながら、そうはいっても役職が上がったほうが、よりその要素は強くなります。
自分のやり方を試してみたいと思う人は、権限を持てる範囲が制限されているのを少々ストレスに感じるときもあるでしょう。
出世したくない場合の断り方
自分が出世したくないと思っていても、出世をうながされてしまうシーンもあるでしょう。
ここからは出世したくない場合の断り方を紹介します。
素直に話してみる
何かを偽ってしまうと罪悪感が出てしまうこともあるでしょう。
もし話してわかってくれそうな上司であれば、素直に自分の気持ちを話してみるのもひとつの方法です。
例えば自分の体力面を考慮して、現状維持のほうがパフォーマンスが上げられると考えていることや、現在の仕事にやりがいを持っているため、引き続き頑張ってみたいことを伝えるのもよいでしょう。
ありのままの自分の気持ちが伝わると、今後人材育成のペースを考えてくれる可能性があります。すると、ライフキャリアの設計に無理がなくなるでしょう。
転職する
出世を考えていないという気持ちを上司に伝えても、もしかしたら理解を得られないときもあるでしょう。
これは仕方ないことで、会社側も組織編成を考えながら人材育成をしているからです。
どうしても出世しない道を閉ざされてしまったら、転職するのもひとつの方法です。
ただ、転職したからといって出世からまったく逃れられるわけではありません。
こちらは最終手段であるため、もし現在の仕事に不満がないのであれば、できれば素直に話したり、場合によっては何か他の事情があると伝えたりして、理解を得られるようにしましょう。
関連記事:転職サイトdoda(デューダ)の評判は?電話相談して転職成功させた話
家庭の事情と伝える
上司によっては「会社にいる限りは出世を目指すべきだ」と思う人もいるでしょう。
そのような上司の場合、素直に出世したくない気持ちを話しても理解を得るのが難しくなってしまいます。
どうしても出世したくない場合は、家庭の事情と伝えることも検討しましょう。
例えば親の面倒をみることや、配偶者をフォローする時間が必要であると伝えられるでしょう。
仕方ない事情があるのだと伝わると、無理に出世させようという気持ちはなくなると期待できます。
キャリアを考える際におすすめの本
ここからはキャリアを考える際に、わたしが参考にした本を2冊に絞って紹介します。
人生格差はこれで決まる 働き方の損益分岐点
木暮 太一さんが経済学の原理と木暮さん自身の体験から書かれた、働き方の解決策を提言する本。
わたしはこの本を読んで給料は「労働力の再生産コスト」で決まると知り、ひざから崩れ落ちました。
直近昇進試験を受けるか迷っていたわたしはこの本を読んで「自己内利益」の話を知り、試験を受けたくない気持ちを尊重しようと決めました。
昇進試験を受けようか迷っている人には「いやまずこれを読んで!」とすすめたいです。
メタ思考~「頭のいい人」の思考法を身につける
澤 円さんが、自分の行動や考え方、性格を俯瞰で見て認識する活動である「メタ思考」について説明した本。
「出世」というよりも「働き方全体」にフォーカスされています。
変化の速い時代にどのような心持ちで働いていたら幸せになれるのか、どういう人がマネージャーになるべきなのかを学べます。
昇進するか、否かという話題を考えたいのなら『人生格差はこれで決まる 働き方の損益分岐点』のほうがよいのですが、『メタ思考』のよいところは、働き方を俯瞰できる点です。
他人軸に寄らないマインドを持つための本として、とても心に響くところがありたくさんメモしました!
出世したくない人におすすめの働き方
ここからは出世したくない人におすすめの働き方を紹介します。
副業する
変化の著しい現代。終身雇用が難しくなっているように、大企業に勤めていても安心という時代ではなくなっています。
副業して収入の足しにしたり、会社が嫌になったときの保険にしたり、仕事の幅を広げる手段にしたりするのもよいでしょう。
人によってどのような仕事に適性があるのかは異なります。
まずはどのような仕事があるのか把握して、自分に合いそうな仕事からはじめてみるのがよいでしょう。
ちなみにわたしはブログ→プログラミング→Webライターと、いろいろなものを試しました。
一発で選ぼうとせず、まずは何か始めてみて自分との相性を探ってみるとよいでしょう。
派遣・パート社員になる
正社員だと会社は昇進してほしいと思うかもしれません。
一方で派遣・パート社員であれば昇進の概念はなくなるため、出世したくない人にとっては好都合です。
家庭での立ち位置や支出から考えて問題ないのであれば、自分の幸福を優先させて派遣・パート社員になるのもひとつの方法です。
わたしもこの方法を検討した時期があります。会社によって派遣社員のほうが大変だと思うケースもあったため、職場の雰囲気をみて慎重に検討したいところです。
フリーランスになる
フリーランスになると、与えられた業務範囲内で自分の好きなように仕事を進められます。
以下のことが自由になるメリットがあります。
- 仕事する時間
- 内容
- 進め方
よくも悪くも自分で判断するしかないという点を、心に留めておきましょう。
移り変わりの激しい時代であるため、自分で学びをアップデートする必要があります。
デメリットも考慮したうえで後悔のない選択をしよう
プライベートを優先したい気持ちにより、出世を望まない人が増えている現在。
自分の働き方にとってはメリットがあると思って出世しない道を選んだとしても、デメリットがあることも事実です。
手を上げようか、やめようかと迷ってしまうときもあるかもしれません。
出世する道以外にも、副業やフリーランス、派遣社員とあらゆる可能性を考えて、長期的に見て後悔がないように選択しましょう。
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